知能情報システム工学科・専攻では,「情報科学の新たな分野を開拓するとともに,IT(情報技術)革命により到来する高度情報社会のあらゆる分野において,『情報化・システム化・知能化』を主導できる国際的に通用する人材を養成する」という理念のもとに,IT分野の専門知識・技術を習得し,実践的な応用力を育成するためのカリキュラムを用意し,人材育成を行っています。
これまで平成18年から「知の創造プロジェクト」として,学科の学生の皆さんが,これまで学科の教育プログラムの中で培ってきた情報・計算機科学の知識・技術をもとに,実際の開発プロジェクトを担当し,社会の様々な分野で求められているIT化のニーズに対してソリューションを提供するという取組を行ってきています。 「知的システム開発工房」は,平成21年度から活動を開始していますが,この「知の創造プロジェクト」を包含し,さらに発展させた,学科・専攻の教育カリキュラムと密接に関連した実践的な情報技術者養成のための取り組みです。
この工房の中で実施するプロジェクトの遂行にあたっては,学科の教職員のほか企業の技術者の協力も得ながらプロジェクト遂行の支援をする体制をとりますが,開発の主体はシステムの開発を担当する学生の皆さん自身です。従って,この開発の過程では,IT化に対する課題の同定と定式化から始まり,可能な解決策の検討と設計,システムの開発と試験,納品と運用・改善に関わる,一連のシステム開発の過程を,学生の皆さんが主体的に遂行していくことになります。また,このプロジェクトでは,社会で実際に使われるシステムの開発を行いますので,それ自身が社会的意義と価値を持ちます。従って,多くの開発プロジェクトは,その活動と成果に対して対価が発生し,報酬を伴うジョブとして実施することになります。このため,システムの開発の完遂とその成果に関し
ては,ジョブの遂行に足るものが求められますので,開発担当者として十分な使命感と責任感を持ってあたってもらう必要があります。
このような活動を通じて,プロジェクトマネジメントの技術やIT分野の色々な技術を俯瞰的に捉える総合力を身につけ,IT技術の社会的意義について考える機会を提供することによって,学科のカリキュラムを補完する能力の育成の場となることを目指しています。
この取り組みは平成18年度に学長裁量経費の支援を受けて活動を開始し,平成22年度からは文部科学省からの特別経費の支援を受けて実施しています。これまでに,多くの学生の皆さんがプロジェクトに参加し,ホームページの作成,WEBでの情報発信のための管理システム,データベースシステムの開発のほか,多くのジョブを手がけてきています。これらのシステムは現在,実際に有効に活用され,納品先にも大変に満足してもらっており,活動の成果がしっかりと社会に還元できているようです。参加した学生の皆さんはみんな,責任感と緊張感をもって取り組んでいたようですが,実際に活用されるシステムを開発したという達成感と充実感を味わったようですし,開発で得た技術や知識などについて確かな手応えを感じているようです。
知能情報システム工学科の学生の皆さん,是非,この取り組みに参加し,ITシステムの開発にチャレンジして,生きたIT技術の活用について体感してみませんか。どのプロジェクトも決して楽ではないでしょうが,必ずや開発の面白さや奥深さに魅せられることでしょう。同時に,きっと,学科での講義や演習の意義や位置づけもよく見えてきて,授業で学ぶ内容への興味も高まって,意欲的に学科での勉学に取り組めることになるはずです。
知的システム開発工房運営委員会
初代委員長 越智義道